増田ひろのり

活動レポート: 議会の報告

【R6-2定_本】代表質問に立ちました。緑道、防災、福祉、子育てなど38の質問 〜R6第2回定例会

2024.6.4

2024年6月3日、渋谷区議会令和6年第2回定例会の代表質問で、立憲・国民渋谷議員団を代表し、区長と教育長へ6分野38問の質問をしました。質問と答弁を詳報します。
なお議会中継動画で全編を視聴いただけます。

1. 玉川上水旧水路緑道再整備について

1.1. 笹塚と大山緑道の一部の先行工事(田根剛さんとの対話機会、テラゾ材の見直し)


<質問の背景>
渋谷区では笹塚から代々木まで2.6kmに及ぶ玉川上水旧水路緑道の再整備の最初の工事として、図中「工事①」のエリアの工事着手を予定しています。本定例会に「工事①」の契約議案が提示されており、議決されれば7月から工事が開始される状況です。しかし5月23日に行われた住民説明会の結果を見る限り、まだ地元の住民は工事に合意していません。

質問 1.1.1 田根剛さんと住民の対話の機会
【増田質問】
合意形成を阻む大きな溝の1つは、住民の方がいくら意見を言っても設計者との意思疎通が叶わないという虚無感だ。工事1の着工前、設計を見直せる最後の機会に、田根剛さんへ区民の意見を直接伝える場を設け、設計の修正を図る機会を設けていただけないか。
【区長答弁】
田根剛さんは過去にササハタハツ会議等に複数回出席して住民の意見を直接聞いている。工事1の着工前に田根剛さんと住民の会話の機会を設ける考えはない。

質問 1.1.2 園路のテラゾ材の見直し可能性
【増田質問】
毎日散歩しているお年寄りの方が、硬いテラゾ材は足に負荷がかかるのではないかと懸念している。ササハタハツ会議資料に「今後詳細設計や調整の結果、変更となる場合があります」と書かれている。利用者との調整の結果、工事1の園路がテラゾ材ではない舗装に変更される余地はあるか。
【区長答弁】
現場の状況によって位置などの変更は想定しているが、別の舗装材にする予定はない。
【増田再質問】
私たちには、地元から心配する切実な声が届いている。地元の方は将来にわたって使う公園になるので、これを強行すると、禍根を残してしまう懸念がある。見直しの余地を検討して。
【区長再答弁】
素材が硬いという意見などを聞いているがいろんなメリット、デメリットがある。それを勘案して今このリサイクル素材を使ったリサイクル意識を育んでいただくような仕組みのテラゾ材になっている。緑道でそういったことも感じてもらいたいので、この方向で行くと決めている。

1.2. 緑道全体の植栽(低木の保全、南国風の植栽)


<質問の背景>
以下は区が公開している再整備後のイメージ図です。これが本当に再現されると、緑道全体の低木の多くが伐採されると想定されます。
また「笹塚緑道」のイメージには南国風の植栽と見受けられる箇所があります。これを見た専門家の方は「下草を南国風にすると、実生繁殖や栄養繁殖などで周辺地域に帰化植物として広がることが懸念され、土地の生物相を大切にする生物多様性保全の観点から問題だ」と評しています。


質問 1.2.1 低木の撤去・保全の方針
【増田質問】緑道再整備全体で低木をどのくらい撤去する方針か。昨年再診断された高木と同じように、低木も健全な木はできるだけ保全していく方針になるか。
【区長答弁】既存の低木は多くを入れ替えるが、そのうち良好な低木は別の場所へ移植する。

質問 1.2.2. 南国風の植栽の実現方針
【増田質問】南国風の植栽が生態系に及ぼす影響を懸念する専門家の意見がある中、イメージ図どおりに実現するのか。
【区長答弁】南国風の植栽は、日照条件と周辺環境を考慮し、耐陰性に優れ、笹塚駅前の賑わいをイメージして採用する。「生態系被害防止外来種リスト」と照合して、生態系に影響のない樹種を選定している。

1.3. 工事1の施工後、工事2の設計へ住民の意見をフィードバックするプロセス


質問 1.3.1. 工事1の施工後、工事2の設計へ住民の意見をフィードバックするプロセス

<質問の背景>
1.1.で示したとおり、笹塚、大山、幡ヶ谷にまたがる「工事2」の着手が今年の年末頃に予定されています。しかしもともとは、工事1でできたエリアを住民が利用してから、意見を聞いて工事2に入る計画でした。工事2の着工は工事1の完成後であるべきです。

【増田質問】工事1の施工後、工事2の設計へ住民の意見をフィードバックするプロセスをどう計画しているか。
【区長答弁】今回に限らず、緑道の施工後に、再整備後の緑道地域の方々に利用していただき、その効果や課題等を検証し、他のエリアの設計に反映していく。
【増田再質問】去年の計画だと、工事が終わって住民に利用してもらってから次のエリアを着工する計画だったと思う。 しかし工事1がずれたため今年度末(2025/3)に終わる予定になり、工事2は年末(2024/12)に始まってしまうというスケジュールになった。ここは慌てずに、しっかり工事1が終わって住民に利用いただいてから工事2に着工すべきだと考える。いかがか。
【区長再答弁】限られたスケジュールの中でしっかりやっていく。 意見として伺っておく。

1.4. 再整備後の管理主体


<質問の背景>
渋谷区はこれまで公園の整備や管理について「民間活力導入」という手法も検討してきました。しかし工事①と工事②の設計と施工を区が単独で行う計画を見ると、大がかりな官民連携手法は取らない方針に落ち着いたと見られます。
しかし、工事①と工事②の着工が計画されているにも関わらず、いまだに完成後の管理方針や管理費用が明らかにされていません。工事①と工事②には区が管理した例のない植栽や農園が配置されており、管理方針を決めないま工事に入ると、完成後に管理能力がなく維持できなくなるリスクがあります。管理費用を評価しないまま工事に踏み切ることも問題です。

質問 1.4.1. 笹塚、大山、幡ヶ谷緑道の管理方針
【増田質問】工事1と工事2の笹塚、大山、幡ヶ谷緑道については、公募管理設置制度(Park-PFI)や指定管理者制度などの民間活力導入の対象外になったのか。笹塚、大山、幡ヶ谷緑道は再整備後も区が管理運営主体となるのか。
【区長答弁】公募管理設置制度(Park-PFI)の導入については条件整理などの検討を進めており、今後適切に検討。この緑道は再整備後も区立公園とし本区が管理し、維持管理業務を行う指定管理者制度の導入も検討しており、今後適切に判断。

質問 1.4.2. 西原、初台、代々木緑道の管理方針
【増田質問】また、今年度は設計が続けられ、来年度以降に再整備が計画されている西原、初台、代々木各緑道の管理運営主体についても伺う。
【区長答弁】再整備後も本区が管理し、指定管理者制度の導入も検討している。

1.5. 農園の要否と適正規模、仮設ファームの評価とリスク


<質問の背景>
工事2の幡ヶ谷緑道に「農園」の設置が計画されています(下図参照)。しかし本定例会に282名からの「大山・幡ヶ谷・西原緑道へのファーム設置中止を求める陳情」が提出されるなど、地元住民の合意は得られていません。
農園設置に対して懸念の声が絶えない理由は、この地点にこの規模の農園を設置する必要性が示されないこと、農園の管理方針が見えないこと、農園の設置や運営における様々なリスクや対策が見えないことだと考えます。

そこでまず、区が行う農の施策を振り返るため、渋谷区の過去の施策「区民菜園」に遡って以下の質問をしました。

質問 1.5.1. 参宮橋区民菜園の終了経緯
【増田質問】参宮橋区民菜園はどのような経緯で事業終了に至ったのか。
【区長答弁】運営していた株式会社シブヤサービス公社の運営の実施が困難となったことから令和4年度末に事業終了に至った。

質問 1.5.2. 恵比寿区民菜園跡地の1.2億円ビニールハウス設置経緯
【増田質問】恵比寿の区民菜園跡地ではなぜ1.2億円という莫大な予算をかけてビニールハウスを設置することになったのか。
【区長答弁】昨年、「農と食の地域拠点」をコンセプトに、栽培・収穫・消費という食の循環を体験できる「ふれあい植物センター」がリニューアルオープンした。さらなる機能強化をしてより多くの区民が食の循環を体験し、植物に親しみを感じていただけるよう、跡地を活用する。

<次の質問の背景>
一方、緑道に設置が計画されている農園は過去の区民菜園と異なり、参加者が畑全体を共同利用する運営を指向しています。新しい取り組みになるため仮設ファームで実証実験が行われてきました。2千万円以上の予算をかけてです。この実験の検証をしない限り、農園の設置は進められません。

質問 1.5.3. 仮設ファームの実証結果の公開
【増田質問】まず仮設ファームの実証結果を明らかにし、農園の設計を検討すべき。工事2の仕様が決まるまでに仮設ファームの実証評価を公開すべきだが、いつどのように公開されるか。
【区長答弁】これまで2年間の仮設ファームの活動によって、地域主体の催しや行事などが活発になっているとともに、これまでも積極的な情報発信を行なってきた。加えて再整備後の緑道の一部を体験できる新しい取り組みを始めている。引き続きこうした取り組みを地域に発信するとともに、農園の本格運用に当たっては、これらの活動の成果を踏まえ、適正な規模と配置や管理の方法などを定め、公表していく。
【増田再質問】成果について定性的に説明いただいたが、去年8月のササハタハツ会議の資料で仮設ファームの評価項目が詳細に挙げられている。 農園の仕様、地べたなのかプランターなのか、 必要な設備、農園の利用に関する こと、利用ルール、マナー、 利用料金と、こういった例が挙げられている。また定性的なことでも、利用者のキャストの方から聞いているのは、コーディネーターが替わって、 最初は少数の人がやっていたけれども、だんだん利用者が増えてきた、これは前向きな評価だがそういう声もある。評価をしっかり地元の方にリアルに知っていただくべき。 是非、仮設ファームの評価をしっかり公表してほしい。そして、それは農園を含む工事の着工前に必ず行うべきだ。いつこの評価を行って公表するか。
【区長再答弁】しっかりと効果を検証して、それをしっかりとフィードバックしていく。
【増田再々質問】いつ結果を公表いただけるか。
【区長再答弁】具体的にいつかはちょっとここでは言えない。施工状況を見ながら使っている方の意見をしっかり反映させる。
【増田意見】農園を含んだ区間の着工前に、仮設ファームの評価を明らかにして、農園の設置に関する議論をもう一回すること、これは当たり前の流れだ。ここをしっかりお願いする。

質問 1.5.4. 昨年度「農園管理運用検討業務」の結果
【増田質問】昨年度、緑道再整備設計業務とは別に「玉川上水旧水路緑道再整備に伴う農園管理運用検討業務」が委託業務として実施された。この業務で何を検討し、どんな成果があったか。特に農園設置や運営上のリスクについて検討の成果は。
【区長答弁】コミュニティ農園や体験学習型農園など、緑道にふさわしい管理体系や、それら農園の利用ルールの検討などを行なった。またコミュニティ農園の事例を調査し、子育て世代同士の交流機会の増進や、子どもたちの居場所の創出にも繋がっていることが分かった。特に農園設置や運営上、想定されるリスクについては、それを最小限に抑えるよう、これまでの仮設ファームの取り組みやこの検討業務委託の成果を踏まえ、適切な管理運営に繋げる。

質問 1.5.5. 農園運営のリスクと対応
【増田質問】農園運営のリスクとして、作物の不作、獣害の発生、利用者数の減少、などが考えられうる。その状況に応じて農園を縮小していく可能性も想定される。今後、再整備後の緑道に農園を設置するにあたり、運営上のリスクをどう考え、どう対応していくか。
【区長答弁】仮設ファームの取り組みや検討の成果も踏まえ、さらに専門家の意見も踏まえながら、最小限に抑える。
【増田再質問】造ってしまってから大き過ぎたでは遅い。今後、西原・初台・代々木も含めて引き続き農園は全体の8%という方針を維持するのか、状況を見て縮小する可能性があるか。
【区長再答弁】あくまでも目安ということで、一応それを目標にしてやっていくつもり。

1.6. 緑道再整備の予算(ベンチの費用、補助金)


<質問の背景>
緑道に関する質問の最後は予算についてです。今年第1回定例会の予算特別委員会で、緑道に設置するベンチの購入予算が15基分で約6,240万円(1基あたり400万円)だと説明がありました。特別なデザインをするからとの理由でです。公園用のベンチの相場は1基あたり20〜30万円程度であり、考えられない価格です。
これまで再整備費用に総額約100億円程度かけると説明されてきましたが、予算内訳は明かされてきませんでした。施工直前になって説明のつかない高額な予算内訳が小出しにされる状況は、渋谷区政を象徴する大きな問題です。

質問 1.6.1. ベンチの要件
【増田質問】本区が緑道再整備後のベンチに求める要件は何か。
【区長答弁】利用者が散策しながら休憩や会話を楽しむことができるよう、様々な利用形態を考慮し、緑道の各所に配置する。その際「都市公園の移動等円滑化ガイドライン」などの基準にのっとって、公園施設のベンチとしての要件を満たすよう設計する。

質問 1.6.2. ベンチの見積額が高額な理由
【増田質問】その要件に照らして、ベンチの見積額は高すぎないか。一般的な販売価格に照らして予算額が高額な理由は。
【区長答弁】ベンチを含め、園路、広場、遊び場、植栽、農園など、将来にわたり地域の人々が愛着や誇りを持って親しめるよう、緑道全体を統一的な機能や意匠となるようデザインしている。ベンチは資材メーカーが販売している汎用品ではないため、一般的な価格として単純比較は難しいが、適正な価格設定となるよう努める。

質問 1.6.3. 緑道再整備予算で見込んでいる国や都からの補助金の内容
<質問の背景>
「全体で100億円くらい」と言われている再整備の予算について、第9回ササハタハツ会議において区長から、 「国のお金、都のお金も入ってきますので、半分とは言わないですけども、区の財政支出としてはもう少し減っていきますので」 との発言がありました。国や都からの補助の算段がついているかのような発言で、受け取り方によっては半額近くが都や国から補助されると思い込んでしまうような話ぶりでした。しかし特に国庫補助についてはこれまで聞いたことがありません。実際にはどこまで目論見できているのか確認しました。
【増田質問】国や都の補助金、交付金について、それぞれどの名目の補助金を想定しているか、その交付条件は何か。
【区長答弁】都市計画事業に対して東京都から交付される都市計画交付金の活用などを想定。


2. 防災について

2.1. 福祉避難所の運営体制


<質問の背景>
2016年の熊本地震では犠牲者の8割が高齢者を中心とした災害関連死となり、全国で福祉避難所の重要性が再認識されました。しかし今年の能登半島地震では、福祉避難所に指定されていても開設できない施設が6割を超え、災害時の運営の課題が改めて浮き彫りになりました。大きな課題はマンパワー不足です。施設の職員は従来の入居者のケアで手一杯になり、避難者の受け入れには新しい人手が必要になります。

質問 2.1.1. 福祉避難所の人材確保の課題と対策
【増田質問】福祉避難所指定各施設や区内関係団体と福祉避難所運営のあり方について協議をしていると思うが、災害時における人材確保について、各施設や団体はどんな課題を挙げているか。それを受け本区はどのような対策を行うか。
【区長答弁】福祉避難所指定施設は、発災時は限られた人数で施設利用者の安全確保を最優先に対応しなければならず、 一定の人員体制が確保でき るまで福祉避難所としての受入れを開始することが難しいとの声をいただいていた。 そのため福祉関係団体や福祉サービス事業者と福祉人材の確保、 輸送支援及び福祉用具 提供等に関わる災害協定の整備を進めている。そのほか、 東京都災害福祉広域調整センターへの福祉専門職の派遣要請、 災害ボランティアセンターへのボランティア要請など様々な方法で人材確保に努めていく。

質問 2.1.2. 災害時相互応援協定を締結している各自治体との協力
【増田質問】23区外や首都圏以外に住む福祉人材の方に、渋谷区の災害ボランティアとして登録してもらい、災害時に福祉避難所の支援にあたっていただく仕組みを構築すべきだ。まずは災害時相互応援協定を締結している各自治体と、早急に協議をはじめていただきたい。
【区長答弁】渋谷区と相互応援協定を締結している自治体からの支援も有効だが、 遠方自治体からの福祉人材の応援受入れについては、区単独で仕組みを整えるより、都道府県単位で広域調整 による支援を受けるほうがより効率性が高いと考える。実際に、今年1月の能登半島地震の際も東京都からの派遣要請に基づき、区内福祉施設で 勤務している介護職員が現地の福祉避難所の運営支援を行うなど広域調整は効果を発揮している。

2.2. シブヤ・アロープロジェクト


<質問の背景>
渋谷区は「シブヤ・アロープロジェクト」という事業に多額の予算を割いています(令和5年度、6年度ともに4190万円)。外国人を含めた多くの来街者へ、災害時に「一時退避場所」の位置を示すために、アロー(矢印)のアートを街中に掲出するものです。しかし避難誘導サインとして全く知られておらず(これをお読みの皆様は知っていましたか?)費用対効果がないとの指摘が多い事業です。
そんな中、2022年12月に掲出された初の外国人アーティストの作品が、今年の4月には撤去されていることがわかりました。
作品を短期間で撤去しては制作コストが無駄になり、避難所への誘導サインとしても定着せず、ますます事業の意味がありません。また、本プロジェクトで掲出された作品が撤去された例は他になく、本作品だけが短期間で撤去されたことも不自然です。

質問 2.2.1 外国人アーティスト作品の撤去理由
【増田質問】本アートはいつ、どのような理由で撤去したのか。掲出時には、本アートをいつまで掲出する計画だったか。
【区長答弁】シブヤ・アロープロジェクト実行委員会からの報告によると、アートに劣化が見られたため、掲出場所を管理する一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントとの調整により、今年3月に撤去された。 また、掲出時には 掲出の期限を決めていなかった。

質問 2.2.2. 同アートの掲出にかかった予算
【増田質問】本アートの掲出にかかった予算、デザイン料、材料費、製作費、掲示作業量、本アートに係る広告費、などを全て示して。
【区長答弁】本アートにかかった費用は実行委員会の負担であり、経費の詳細については把握していない。


3. 福祉について

3.1. 知的障がいや精神障がいのある子と家族の支援


<質問の背景>
今年度、新しい渋谷区障がい福祉計画が策定され、重度心身障がいや医療ケアを必要とする方へのサービスが拡充されました。一方、多様化、重層化する支援ニーズの中で切実な課題が寄せられているのが、知的障がいや精神障がいがある子とそのご家族の日中の支援です。
「はぁとぴあ原宿」の日中一時支援事業は15人の定員に対し毎年定員以上の申し込みがありますが、増設の計画がありません。区は放課後等デイサービスの利用を案内していますが、利用料が高額で、移動支援も確保しにくく、利用しにくいという声も聞こえます。これらのサービスが使えないため日中子どもと離れられず、フルタイム就業を諦める保護者がいるとも耳にします。

質問 3.1.1. 知的障がいや精神障がいがある子の日中預かりサービスの供給状況
【増田質問】日中一時支援事業と放課後等デイサービスについて、区民のニーズに対するサービスの供給状況を、どう評価しているか。
【区長答弁】障がい者福祉団体や家族会などと連携を密に意見交換を行っており、ご要望を可能な限り受け止め、障がい福祉施策に反映させている。その中で、はぁとぴあ原宿における利用定員の拡大や、 1日定員制の導入による利用者の 拡充を図るなど、区民ニーズに的確に対応している。

質問 3.1.2. 日中一時支援事業と放課後等デイサービスの利用料差額の支給
【増田質問】日中一時支援事業の利用要件を満たしながら選考漏れで利用ができなかった世帯へ、日中一時支援事業と放課後デイサービスの利用自己負担額の差額を補助していただきたい。
【区長答弁】日中一時支援事業の選考に漏れてしまった方には、無料で利用できる放課後クラブをご案 内するなど、日中一時支援事業と同様のサービスが利用できるよう支援を行っている。新たな給付を行う考えはない。

質問 3.1.3. 移動支援を行う事業者への入居費の補助拡大
<質問の背景>
日中一時支援事業や放課後デイサービスを利用される方の移動支援も選択肢が不足しています。移動支援事業者の一層の参入が求められますが、本区の不動産の高額な入居費が事業者の参入障壁になっているようです。
【増田質問】区内で移動支援を行う事業者へ入居費の補助を拡大すべき。切実なニーズに対応するため、優先度をあげて措置いただきたい。
【区長答弁】移動支援では、毎年ガイドヘルパー養成研修を実施し人材確保に努めているとともに、事業所については区内及び近隣区合わせて45事業所あり充足している。新たな参入を目的とした事業所に対し補助をすることは現時点では考えていない。

3.2. 知的障がい者への情報保障とバリアフリー

<質問の背景>
私は、今年2月にシブカツで開かれたボランティアセミナーに参加しました。知的障がいのある方々と一緒に渋谷の街を歩きながら「誰もがわかりやすい・利用しやすい」という視点で街の課題を見つける、「インクルーシブリサーチ」と言われる企画でした。
一緒に歩きながら「誘導サインがおしゃれすぎてわかりにくい」などの意見を聞き、自分だけでは気づけない視点が得られました。街には段差などの物理的なバリアだけでなく、知覚的感覚的なバリアも存在しています。

質問 3.2.1. 知的障がい者への情報保障の考えと取り組み
<質問の背景>
本区では4月から渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例が施行され、情報保障の条文が規定されました。情報保障の対象は「区のあらゆる施策」と書かれていますので、広報物はもちろん、掲示物や区有施設の案内も情報保障の対象になると考えます。
【増田質問】知的障がい者への情報保障は、視覚や聴覚などの身体障害者への情報保障とは異なる考え方での配慮が必要になる。本区は、知的障がい者への情報保障についてどのように考え、どう取り組んでいくか。
【区長答弁】区からの情報を発信する際は、文章や表現方法を工夫し、 知的障がい者に限らず全ての区 民に対して、分かりやすく伝えるよう心がけている。 また渋谷区ポータルにおいては、 やさしい日本語への変換機能も導入するなど、障がいの特性に応じた情報提供や意思疎通支援を図っている。今後も障がいの有無にかかわらず、誰もが円滑に必要な情報を得ることや意思疎通を図ることができるよう取り組む。

質問 3.2.2. 当事者参加イベントの学びの成果をまちづくり施策へどう反映しているか
<質問の背景>
上記のインクルーシブリサーチは渋谷生涯活躍ネットワーク「シブカツ」が主催したイベント。役所の組織でいうと「生涯活躍推進課」が担当していて、参加者が学びと経験を得ることが成果になります。ただ、ようなイベントで得られた気づきを、まちづくり施策へ反映していく仕組みが行政として重要だと考えます。参加者の方も自分が出した意見がまちづくりに取り入れられるととてもやり甲斐が出るとおっしゃいます。
本区では他にも、しぶやボランティアセンターが主催し渋谷区防災課が協力する「防災まちあるき」などの企画も行われており、その成果も防災部門だけでなく、まちづくり部門にも役所内でしっかり展開してほしいのです。
【増田質問】インクルーシブリサーチや防災まちあるきなどで参加者から得られた学びの成果は、どのように区政にフィードバックされているか。ぜひ、障がい者福祉だけでなく、まちづくりや施設総合管理といった街の整備に関わる組織にもフィードバックいただきたいと考え、伺う。
【区長答弁】インクルーシブリサーチのセミナーや防災まちあるきなどにおける障がいのある当事者か らの意見については、これまでも、渋谷駅周辺地区バリアフリー基本構想の推進や、区の防災施策の周知・啓発に当たり、適宜参考としてきた。 今後も、参加者から寄せられた声をダイバーシティ&インクルージョンのまちづくりにつなげる。

3.3. 重層的支援体制整備事業(地域福祉コーディネーターの配置など)


<質問の背景>
現在本区では、13名の地域福祉コーディネーターが、4つの日常生活圏域に分かれて業務されています。短期間で体制強化が図られていることは評価できます。勤務地は、区役所2階の社会福祉協議会事務所や大和田の結しぶやで、福祉なんでも相談窓口の相談などに当たられています。
 一方で、地域の事業者からは、地域福祉コーディネーターが日常生活圏域にいてくれた方が情報共有や相談がしやすい、区役所や大和田には気軽に出向きにくい、という声を聞くことがあります。地域内の多機関協働を進めるためには、日常生活圏域ごとに地域福祉コーディネーターの勤務拠点を設け、そこを地域の支援のつながりの場とする形が好ましいのではないかと率直に思います。

質問 3.3.1. 地域福祉コーディネーターが区役所に配置されている理由
【増田質問】現在、地域福祉コーディネーターが各日常生活圏域に配置されず、区役所に配置されている理由は。
【区長答弁】多様なお困り事を抱える方の支援を継続的に進めるため、地域福祉コーディネーターは、 対象となる事例の検討、コーディネーター間の連携や支援方針に合った伴走支援のためのス ーパーバイズを効果的に行うため、 社会福祉協議会内に活動拠点を置いている。

質問 3.3.2. 今後の地域福祉コーディネーターの配置
【増田質問】今後、中長期的な地域福祉コーディネーターの配置についてどう考えているか、展望を。
【区長答弁】区の中心部に活動拠点を置いたことにより、区内各所への定期訪問や、急を要する事例に 迅速に対応できており、分散配置など配置の変更は考えていない。現状において適切に運営ができていることから、当面の間、 現行の体制を維持する。

<次の質問の背景>
昨年度から重層的支援体制整備事業において、デジタル・コミュニケーション・プラットフォーム(DCP)=令和4年度予算概要P15-16参照 の利用が開始されました。相談者本人を中心に、複数の相談支援機関が垣根を超えて連携するためのツールとして成果に期待しています。

質問 3.3.3. DCP利用ケース数と、区役所外の支援団体のアカウント数
【増田質問】DCPを使って支援をしているケースは何ケースに上ったか。また区役所外の支援団体でDCPへアクセスしているアカウント数はいくつか。
【区長答弁】DCPを使って支援している事例は7ケース、区役所以外の団体でDCPにアクセスして いるアカウント数は13。

質問 3.3.4. DCP導入の成果
【増田質問】DCP導入の成果として業務が効率化されたとは伺っているが、利用者の福祉サービス向上につながった事例があれば紹介を。
【区長答弁】DCPの活用により、 情報共有に係る担当者の負担が軽減され、 支援検討までの準備時間も短縮されるため、 利用者の支援やサービスの提供がより迅速かつスムーズに行われている。

3.4. エンディング・サポート(いわゆる「終活」支援)


質問 3.4.1. エンディング・サポート(いわゆる「終活」支援)の検討進捗
<質問の背景>
高齢単身世帯が増える中、「終活」支援を行う自治体が増えています。渋谷区の終活支援については、区長から社会福祉協議会とも課題を共有した上で検討していくとの答弁が続いています。
渋谷区では単身の高齢者が4,600人に上り、現実として、それだけの方が孤独死の恐れに直面しています。これは人としての尊厳の問題であり、そこに手を差し伸べるのは行政の責務です。
東京都は今年度から、終活専用相談窓口を設置した自治体に補助を出す施策を開始しました。もはやエンディング・サポートは自治体として当然に行うべき喫緊の課題です。

【増田質問】エンディング・サポート事業について、都の補助事業の活用を含めた検討の進捗を。今後どのようなスピード感を持って取り組むのか展望を。
【区長答弁】昨年度、渋谷区社会福祉協議会にて終活をテーマとした講演会を開催した。本年度も同様に講演会などを活用し普及啓発に取り組む。引き続き、社会福祉協議会と課題認識を共有した上で、専門相談窓口を設置するかどうか を含め、検討する。
【増田再質問】検討は分かったが、同じ答弁が繰り返されているので、具体的に今どういうことを社協と話されているか、具体的な進捗を。
【区長再答弁】具体的に今ここで申し上げられることはない。

質問 3.4.2. 外国籍の方へのエンディング・サポート
<次の質問の背景>
外国籍の方には独自のエンディング・サポートのニーズがあります。本国への移動が困難なため日本で遺言を作成する方もおり、専門的知見に基づき本人と意思疎通した上で遺言の作成と執行ができる、通訳 兼 遺言執行人のような専門家が求められます。また日本人のパートナーから相続した外国籍の方が財産を処分する際、悪質なブローカーの介入を防ぐために、国家資格者などの専門家に安心して相談できる体制も求められています。
外国籍の方むけのエンディング・サポートを行政が行う事例はまだ少なく、本区が先頭を切って取り組むべきだと考えます。
【増田質問】外国籍の方へのエンディング・サポートの取り組みについて、展望を。
【区長答弁】区内外国籍の方々のニーズ把握、国籍ごとの文化の違いなど事業化に向け検討すべき事項も多いことから、今後の研究課題とする。


4. 子育て・教育について

4.1. 未就学児のいじめと人権


<質問の背景>
3月の渋谷区議会 令和6年第1回定例会で、「未就学児のいじめや人権に関する請願」が全会一致で採択されました。
・未就学児におけるいじめや人権に関する実態調査を行うこと
・「保育の質ガイドライン」及び「就学前教育プログラム」を踏まえた上で、いじめ防止           や人権保護に具体的に取り組めるよう、渋谷区の全教職員に研修等を実施し、意識の向上に努めること
などが本区に求められています。

質問 4.1.1. 昨年度の未就学児のいじめ相談件数
【増田質問】令和5年度に、本区に対して、未就学児のいじめに関する相談は何件だったか。
【区長答弁】1件。

質問 4.1.2. 実態調査と、全教職員への研修の実施スケジュール
【増田質問】請願を受け、実態調査と、全教職員への研修の実施について、今年度どのようなスケジュールで取り組むか。検討の進捗を。
【区長答弁】実態調査については、国でも、幼児期は、やっていいことや悪いことの基本的な区別がで きるようになる時期であるため、 幼児の行動をいじめとして扱うことに対して慎重に考える必要があるとしており、現時点で実施する考えはない。研修については保育園、 こども園に加え、今年度から幼稚園の教職員も、区が主催する子どもの権利について考える研修に参加できるようにしている。子どもの人権を考える研修を充実させ、子どもたちが健やかに成長できる環境整備に取り組む。
【増田再質問】国の方でそういう見解はあるが、渋谷区は今年度、人権を尊重し差別をなくす条例を施行し、「子どもの人権」という条項もできた区だ。 調査方法については、子どもたちに焦点を当てるものだけじゃなくて、今日の地方紙の紙面には、いじめの危険因子とか保護因子というものを調査されている方の紹介もあった。 そういう事例も踏まえて是非実態調査を。請願は議会としての全会一致の要望なので是非取り組んでいただきたい。
【区長再答弁】先ほど答えたとおりだ。

4.2. ICT学習環境


質問 4.2.1. ICT学習環境の課題認識と対策
<質問の背景>
全国に先駆けた1人1台タブレット端末導入から7年。利用が定着している中、学習環境としての学校設備や備品に関して、保護者の皆様から多くの意見をいただきます。多く聞くのは学校施設の電力容量や、Wi-Fi接続の安定性、端末本体や充電器の故障時の対応などです。
最近伺ったのは、教室の机のスペースです。小学校の授業では、教科書、筆箱、ノートに、タブレットが机に並べられ、机からタブレットを落としてしまう、落下が原因で壊してしまう児童もいると聞いています。学習環境改善のため、机を端末使用に適したものへ入れ替えたり、タブレット落下防止シートを配布するなどの対策を講じられないでしょうか。
ICT教育を推進するのであれば、端末機器のみならず、通信環境、机や備品、運搬、故障対策など、使用環境も含めてトータルで先駆的な整備を進めるべきだと考えます。
【増田質問】今述べたような課題を本区は認識しているか。ICT学習環境としての学校設備・備品の問題を検証し、早急に対策を打ち出していただきたい。どう取り組むか。
【教育長答弁】ICT教育における学習環境の課題について、これまでも学校と連携し把握に努め、順次対応してきた。タブレット型端末については、落下等による破損もありますが 学校の机から落下しただ けでは生じないような破損の程度も見受けられる。 破損したタブレット型端末については、 速やかに交換し、学習活動への影響が生じないよう対応している。 また、破損防止対策として、既に全児童・生徒用のタブレット型端末に破損防止フィルムを貼付する準備を進めている。
タブレット型端末を安全かつ大切に使い続けるために、学校において子どもたちにタブレット型端末の正しい使い方を伝えるとともに、各家庭においても、正しい使い方について伝えるよう協力をお願いしている。今後も引き続き学校と密に連携し、 タブレット型端末を含む学習環境の課題の把握に努め、よりよいICT環境の整備を推進する。
【増田再質問】破損については丁寧に答弁いただいたが、壊れなくても机から落ちてしまうこと自体が学習上のストレスになる。こういったことがないよう。タブレット端末を使う方向で教育を営んでいるわけだから、それに見合った適切な環境を整えていただきたい。改めて、落下に関して認識されていたか。また、いま保護者の方中心に対策を考えているということも伺っているが、フォローいただきたい。
【教育長再答弁】タブレット型端末の落下が各学校で起きていることは把握をしている。 対策の一つとして机のサイズの見直しが考えられる。青山キャンパスや建替え後の学校については、机のサイズの見直しを考えている。 ただ、既存の学校については教室の広さの制約があり、課題としては捉えつつ引き続き検討している。
【増田再々質問】仮設校舎や建替え後の校舎まで待てない子どもたち、今の学校で教育を受けている子どもたちに対しても、しっかり教育環境を整備していくのは今の行政の務めだ。落下防止にかかわらず課題があったら、 校舎の建替えまで待ってという言い方ではなくて、しっかり保護者の方、子どもたちに寄り添って、 備品、 設備も整えていただきたい。今の子どもたちにできる限りのことを対応してくという所見をいただきたい。
【教育長再々答弁】ご指摘のとおり、 青山キャンパスであったり建替え後の学校以外の既存の学校の環境についても大事だ。引き続き学校と密に連携を取り、タブレット型端末を含む学習環境の課題把握に努め、環境整備に努める。

4.3. 代々木山谷小学校の教室不足


4.3.1. 代々木山谷小学校の教室不足問題の解決策
<質問の背景>
2015年に開校した代々木山谷小学校が、その後想定以上の児童数の増加によって教室不足となっており、当会派から対応を再三指摘しています。
今年も4年連続5回目の「代々木山谷小学校普通教室化改修工事」が入札公示されました。毎年同じ名称の改修工事で、今年はいよいよ放課後クラブ室を縮小し、通常教室化工事を行う必要があると伺っています。児童数が増えたのに、放課後クラブ室が縮小されるという、子どもたちの居場所、遊びの場を直撃する事態になっています。
昨年の第4回定例会でこの問題が指摘された際、区長は「しっかりと対応できる」と答弁されました。しかし、来年度もこの傾向は続くと見込まれます。
【増田質問】代々木山谷小学校の教室不足問題をどう解決するのか。この反省は、今後の学校建て替え計画にも生かさなければならない。
【区長答弁】児童数増加に伴う普通教室化工事を、学校運営や放課後クラブでの活動等 に影響が出ないよう、学校とも綿密に調整を行い計画的に実施している。今年の夏休みに実施している工事は、今後、学級数が増加した場合に備え、現在の放課後クラブ室を普通教室にも利用できるよう、事前の対応として整備するもの。 工事期間中は一時的に放課後クラブ室を移動するが、工事終了後は再び放課後クラブ室として利用する。このため 放課後クラブ室を縮小するものではない。今後も引き続き、 児童数の推移を注視しながら、計画的に学校環境の整備を進める。
【増田再質問】今6年生と5年生が2クラスずつで、4年生以下がずっと3クラスだと伺っている。来年また1クラス増え、再来年もまた増える状況になるだろうとPTAの方から言われている。そうなるとまたどこかを潰すという話になるのか、または、校内にプレハブを建てるような形になるのか、今から具体的にどんな対応を取られるのか。
【区長再答弁】今年の工事は将来を見据えた工事だ。 これで少しの間保てるのではないかと思っている。子どもの数はこれから建替えがある中できっと少し事情が変わってくるので、どこの学区に寄ってしまったりとかそういうことが起き得ると思う。そういうことが起きたとしても対応していかなければならないし、なるべく起きないように考えていく。全体の学校の建替え計画の中でしっかりと考えていく。


5. 熱中症対策について

5.1. 代々木山谷小学校の夏休みの工事中の冷房


質問 5.1.1. 代々木山谷小工事中の放課後クラブ室の空調
<質問の背景>
4.3.の代々木山谷小学校の放課後クラブ室の関連です。この夏に放課後クラブ室を縮小し通常教室化工事を行う関係で、放課後クラブ室でエアコンが使えず扇風機を使うことになる、と伝え聞き、驚きました。事実であれば看過できません。
【増田質問】扇風機や送風機の使用だけで今年の猛暑を乗り切ろうとする対応は、子どもたちの命に関わる大問題だ。冷却機能のある装置を導入し、適切な温度管理ができる設備環境を整えていただきたいと強く求める。
【教育長答弁】代々木山谷小学校ではこの夏に2件の工事を予定している。 1件は老朽化した空調設備の更新のため、 放課後クラブ室がある体育館棟1階の空調工事を夏休み前に実施するもの。もう1件は放課後クラブ室を普通教室にも利用できるようにするための工事を7月下旬から8月末まで実施する。
このうち、エアコンが使えなくなる期間は、 前者の空調工事を実施する9日間。 その間、クラブ活動の代替場所は、冷房の効く校舎棟の特別教室を利用する。また、後者の普通教室化工事の際の代替場所は、同じく校舎棟1階にある1年生の教室などを利用することで調整している。いずれも冷房が完備された教室での活動となる。したがって計画当初より、質問にあったような扇風機や送風機による対応は予定していない。これらの工事期間中においても、学校、運営事業者と連携し、しっかりと熱中症対策を行い、子どもたちの安全を最優先に考えた放課後クラブ運営を行う。

5.2. クーリングシェルター


質問 5.2.1. クーリングシェルター導入の見込み
<質問の背景>
当会派は昨年8月に区長へ「『熱中症対策』実施を求める緊急要請」を提出し、区民や来街者が暑熱から一時的に避難できるクーリングシェルターの設置を要請しました。区長からは「民間施設を含むシェルターの指定について、改正された気候変動適応法の施行に合わせて、区内事業者の協力を要請していきます」との答弁がありました。
【増田質問】今年のクーリングシェルター導入に向け、どのような施設と調整され、どこに何箇所が指定可能な見込みか。
【区長答弁】熱中症特別警戒アラートが発表された際のシェルターの運用に関して、安全上の課題が見えてきた。指定に当たっては、民間事業者との丁寧な調整が必要となる。まずは今年、熱中症特別警戒アラートによることなく常時開設しているクールシェアスポットの拡充を進めるため、民間施設に協力を要請していきたい。


6. 庁内ガバナンスについて

6.1. 外部相談窓口の設置


質問 6.1.1. 外部の相談窓口の設置に向けた進捗状況
<質問の背景>
昨年、前副区長が当会派の議員を誹謗中傷し辞職しました。本区は再発防止策として職員一人ひとりのモラルの啓発を掲げ研修等を実施してきました。しかしこの問題は職員個人の問題に矮小化させるものではなく、組織の自浄作用が働くようさらに改革を進めるべきです。当会派は第三者を窓口にした通報制度の立ち上げを提案してきました。
【増田質問】外部の相談窓口の設置について、検討の進捗を区長に伺う。
【区長答弁】検討のためプロジェクトチームを立ち上げ、 他の自治体における活用状況、 経費等の調査結果を踏まえ、公益通報やハラスメント相談のフロー全般の見直しの検討をしている。引き続き職員がより安心して利用することができる相談体制の確立に努める。

6.2. サーベイ調査の導入


質問 6.2.1. サーベイ調査の導入
<質問の背景>
民間企業では、サーベイと呼ばれるアンケートシステムを活用し、従業員の満足度や考え、コンディションを定期的に測定し、組織環境の向上に努めています。サーベイにより、職員のメンタルヘルスや職場のハラスメントの予兆を可視化できる効果も期待できます。
【増田質問】本区でも職員向けにいわゆるサーベイ調査を導入してはいかがか。
【区長答弁】昨年度から職員の満足度やエンゲージメント等を測定するサーベイ調査を開始した。また、定期的に職員のストレスチェックを実施し、職員の心の健康状態やハラスメントの予兆を把握し、ストレスの高い職員や職場に対する相談・支援を行う。 引き続き、職員が安心してやりがいを持って働き続けることのできる環境づくりに努める。




反省点を5つ。

論戦での反省点


代表質問に対する最初の答弁は役所が作成した原稿を読み上げるいわゆる「お役所答弁」であり、「再質問」後の「再答弁」から区長や教育長の「自分の言葉」が現れてきます。
質問者には、最初の答弁の問題点を指摘し踏み込んだ再答弁を求める「再質問」の力量が問われます。しかし短時間で読み上げられる答弁を逐一理解し、問題点を把握して追及ロジックを組み立て、限られた時間内で優先順位をつけて「再質問」することは簡単ではありません。今回も技量不足を痛感しました。技量を上げるためには1つ1つ振り返りをしながら場数を踏んで力をつけていくほか近道はないと考えます。
次回に向けて、今回の反省を5点記しておきます。

1.「1.5.1. 区民菜園終了の理由」→今回の質問構成の狙いが最もハマって、区長から「運営していた株式会社シブヤサービス公社の運営の実施が困難となったことから令和4年度末に事業終了に至った。」との答弁があったのに、1問前の答弁を書き取るのに必死になっていて聞き漏らした痛恨のミス。「運営の実施が困難」になった理由を掘り下げて聞き、緑道での農園運営は問題がないのか?と追及する大きな機会を逃してしまった。

2.「1.5.3. 仮設ファーム実証結果の公表」→ 今回「大山・幡ヶ谷・西原緑道へのファーム設置中止を求める陳情」も提出されていたので、陳情にも触れながら、住民が了解していないという見解を明確にすべきだった。

3.「2.2.2. シブヤ・アロープロジェクトの撤去作品にかかった予算」→区長は「実行委員会の負担であり、経費の詳細については把握していない」とゼロ回答の答弁。しかし予算・決算委員会質疑や、所管部門への調査では経費の詳細は報告されている。私自身は内訳を知っていたので、ここで時間をかけてこれ以上聞いても仕方がないと思い再質問しなかったが、本会議で区長の認識を問うことに意味があるという考えに立てば、再質問で踏み込んで聞くべきだった(委員会で答弁できるのになぜ本会議で答弁できないのかという聞き方や、せめて区から実行委員会へ支出している額(=4,190万円)だけでも)。

4.「4.1.1. 昨年度の未就学児のいじめの件数」→答弁は「1件」。しかしここでは公式な数字が重要なわけではない。それこそ氷山の一角であり、公式な数字に現れないいじめが存在している可能性はないか?区長は実際どう思うか?と率直に聞きたかった。それが次の質問の実態調査の大切さにもつながるわけで。

5.「4.2.1. ICT学習環境の課題認識と対策」→再質問で「タブレット型端末の落下が各学校で起きていることは把握をしている」まで得られたのだから、この対策を具体的にやるかやらないか判断を迫る再々質問も入れた方がよかった。この落下問題に矮小化させたくない気持ちが働いて、既存の学校の環境整備に努めるという大きな話だけを再々質問してしまった。


本記事について
本記事は、増田がメモや録画を元に文字を起こして記載しています。文章の責任は全て増田にあります。質問の項番やタイトルはこの記事のために便宜上つけているものです。
正確な質問と答弁の内容は、議会中継動画や、後日(通例10月頃)公開される会議録を参照ください。