増田ひろのり

活動レポート: 議会の報告

【R6-2定_本】笹塚・大山緑道工事契約への反対理由 〜R6第2回定例会 本会議討論

2024.6.17

第2回定例会最終日となる6月17日(月)の本会議で、「議案第44号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(玉川上水旧水路笹塚緑道ほか)請負契約」に反対しました。
契約の対象は下図の①のエリアの工事で、契約額は1億8150万円。ただしこの契約は工事作業だけで、舗装材、ベンチ、植栽などの購入額が別にかかる仕組みになっています。

会派を代表して反対討論に立ち、反対理由を述べましたので、以下に討論原稿を掲載します。
本会議討論の動画はこちらからご覧いただけます(2分30秒頃から)。
本件の関連記事として代表質問記事の1.1.、1.2.、1.3.、1.6.もお読みください。


私は、立憲・国民渋谷議員団を代表して、「議案第44号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(玉川上水旧水路笹塚緑道ほか)請負契約」に反対の立場から討論いたします。

本契約案の内容は、玉川上水旧水路 笹塚緑道の一部と大山緑道の一部の工事業務で、契約金額は1億8150万円です。ただし、園路の舗装材の購入、ベンチの購入、および樹木の購入は別契約であり、このエリアの再整備全体にかかる費用は、本案契約よりも多額になります。その合計額は明らかになっていません。

本契約に当たる工事は、もともと昨年度にモデル整備事業として計画されていました。整備後に住民の方が利用し、その感想や意見を集めて、次の大山緑道、幡ヶ谷緑道の再整備の設計へ反映する計画でした。しかし樹木の伐採を含めた地元からの反対の声が大きく、樹木再診断なども行われたため、工事は延期されてきました。
当会派はこれまでも、計画や予算の全体像が見えない本事業に対し、一旦立ち止まって見直しを図るべきだと主張してきました。その状況は未だ変わらず、本契約を含め、まだ着工の条件は整っていないと考えます。

反対理由を具体的に3点述べます。

1点目は利用者との合意形成を蔑ろにしているからです。

本契約範囲の工事が昨年度延期されてから、地元と工事内容の調整が行われてきたことは理解しています。園路の舗装材にテラゾ材を採用することに地元利用者から反対の声が上がる中、本区は代々木緑道にテラゾ材のサンプルを設置するなど最後まで合意形成の努力をしているものと思っていました。
しかし今定例会において、本契約の議決を待たず、テラゾ材の入札手続きがすでに進行していることが判明しました。さらに同じ仕様で緑道の他区域のテラゾ素材を調達していく方針も明らかになりました。本区が掲げるイメージありきの強引な進め方だと指摘します。

2点目は物品購入を含めた費用の議論が煮詰まっていないからです。

本契約の是非は、本契約以外の物品も含めた調達全体を見渡し、一体的な評価をしなければなりません。
今定例会にて再整備のイニシャル総額が約110億円、うち工事に59億円、舗装とベンチで41億円だとの概算が初めて明かされました。舗装材とベンチの購入費だけで、工事費の実に約7割に上る計算です。必要な価格であれば区民は納得しますが、そこに合理性が見られません。
テラゾ材の予算は1平米当たり17万円だと明らかになりました。当会派で調べたところではリサイクルされた廃材を使い、透水性、保水性に優れたテラゾ材が、5分の1の価格で購入できます。
また1基あたり400万円の予算が計上されているベンチも、防災に資するかまどベンチが10分の1の価格で購入できます。
環境に配慮した素材であれば市販品で賄えるため、舗装材とベンチの購入予算が高額な理由は、デザインへの拘りに行き着くと考えます。
高額な予算をかけてまでこの特注品を選択することが合理的かどうかの議論は全く煮詰まっておりません。今後の資材高騰の可能性も考慮し、できるだけ資材の予算を抑えるべきだとの意見もあり、他の選択肢への見直しを視野に入れて議論を深めるべきだと指摘します。

3点目は再整備事業全体の不透明さです。

まず、再整備後の維持管理の方針や維持管理費については未だ不透明であり、これを明らかにしてから工事に進むべきです。
また、私は今定例会の代表質問で、本契約の区間の整備が完了した後、利用した住民の意見を聞いてから、次の工事を着工すべきだと質問しましたが、それを認める答弁はいただけませんでした。
本契約を皮切りに、再整備事業全体が同一のデザインで、なし崩し的に進められていくという住民の不安を増長する進め方であると指摘します。

区長は緑道再整備事業について、情報をできるだけオープンにして進めていると説明してこられました。実際に年に複数回の説明会が開催されその資料が全て公開されていることは理解しています。
しかしそこで説明された情報は区が説明したい情報ばかりで、費用の構造を含めて 肝心なことはブラックボックスの中で進められてきたと評価せざるをえません。
全体の設計を見直せるこのタイミングで一旦立ち止まって本契約を見送り、区民が本当に知りたい情報や今後の進め方をオープンにして、区民の意見を聞いて計画の見直しを図るべきです。

以上から、いま本契約を進めることに大きな問題があると考え、立憲・国民渋谷議員団は本案に反対いたします。


なお採決は賛成多数で可決されました。
賛成17:自由民主党、シブヤ笑顔、公明党、鈴木議員
反対12:立憲・国民、日本共産党、須田議員、矢ヶ崎議員、矢野議員
棄権3: 維新の会
欠席1